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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 頁

青空文庫

そこで少年たちは、

「狂人だろう」

「狂人じゃ」

と言って気の毒がりました。

その狂人と覚しい男は暫らくして足音も聞えなくなりましたが、やがて前の子供の泣く声が異なった方向で、町から町を筋を引いて歩くように聞え出します。

「危ないものだ、子供を背負うて夜中にああして歩いている、さだめて女房に死なれて、気が狂うたものと見ゆる」

「それに違いない。しかし、このごろのように物騒な時に、ああしてこの夜中を歩くのは、薪を背負って火の中へ駈け込むのと同じことじゃ、怪我がなければよいが」

「ここへ来れば取押えて家まで連れ戻してやろうものを、向うへ行ってしまったから仕方がない」

「あの男のことばかりではない、我々もまた用心せんと……」

彼等はこう言って、また歩き出しました。もとよりこの一組の少年たちのうちにも、勇なるものと怯なるものとがあります。けれどもこうかたまってみれば、勇なる者にも守る心が出来、怯なるものは勇なる者に同化され、勇怯合せて一丸となった別の心持に支配されるのであります。

例の子供の泣く声が糸を引いたようにして絶えることしばし。その時、忽然として耳を貫く物の響が起りました。