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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《孤島の鬼(ことうのおに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 頁
悪魔の正体
私は彼の所謂結論というのが、どんな恐ろしい事柄だか、まだまだ飲込めなかったが、諸戸の奇怪至極な身の上話と、それを話している彼の一種異様の表情から、何かしら世の常ならぬ妖気を受けて、よく晴れた夏の真昼であったのに、ゾッと寒気を覚え、全身が鳥肌立って来るのを感じたのである。
悪魔の正体
諸戸は更らに語りつづけた。私は、蒸しあつい日であったのと、異様な昂奮の為に、全身ビッショリと、あぶら汗を流していた。
「君、今僕がどんな変てこな心持でいるか、想像出来るかい。この僕の父親がね、殺人犯人かも知れないのだ。それも二重三重の殺人鬼なんだ。ハハハハハハハ、こんな変てこなことって、世の中にあるものかね」
諸戸は、気違いみたいな笑い方をした。
「だって、僕にはまだよく分らないのですが、それは君の想像に過ぎないかも知れませんよ」
私は慰める意味でなく、諸戸の云う事を信じ兼ねた。
「想像は想像だけれど、外に考え様がないのだ。僕の父は何故僕と初代さんと結婚させようとしたのだろう。それは初代さんのものが、夫である僕のものになるからだ。つまり例の系図帳が我が子のものになるからだ。そればかりではない。