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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《孤島の鬼(ことうのおに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 頁
霊の導き
のことを尋ねた時、一寸法師が「お父つぁんとは別の若い傴僂が曲馬団の親方である」と云った。その親方が、丈五郎の実の子だったのだ。
徳さんは語りつづける。
「お前さんも、どうせ片輪者に仕込むつもりだったのだろうが、あの傴僂のお袋がお前さんを可愛がってね、あたり前の子供に育て上げてしまった。そこへ持って来て、お前さんが、中々利口者だと分ったものだから、丈五郎も我を折って、自分の子にして、学問を仕込む気になったのだよ」
何ぜ自分の子にしたか。彼は悪魔の目的を遂行する上に、真実の親子という、切っても切れぬ関係が必要だったのだ。
諸戸道雄は悪魔丈五郎の実子ではなかったのである。驚くべき事実だ。
霊の導き
「もっと詳しく、もっと詳しく話して下さい」
諸戸がかすれた声で、せき込んで尋ねた。
「わしは親爺からの、樋口家の家来で、七年前に、傴僂さんの遣り方を見るに見兼ねて暇を取るまで、わしは今年丁度六十だから、五十年と云うもの、樋口一家のいざこざを見て来た訳だよ。順序を追って話して見るから、聞きなさるがいい」
そこで、徳さんは思い出し思出し、五十年の過去に遡って樋口家、即ち今の諸戸屋敷の歴史を物語ったのであるが、それを詳しく書いていては退屈だから、左に一目で分る表にして掲げて置く。