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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《孤島の鬼(ことうのおに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 頁
古井戸の底
そこで、鳥居の影が、正しく石地蔵の高さに来た時の時間を見ると、私の腕時計は丁度五時二十五分を差していたので、私はそれを手帳に控えた。
それから、私達は崖を伝い降りたり、岩によじ昇ったり、色々骨を折った末、鳥居と石地蔵の距離を計り、鳥居の影と石地蔵との隔りも正確に検べて、その三つのものの作りなす三角形の縮図を、手帳に書き記した。この上は明日の午後五時二十五分、諸戸屋敷の土蔵の屋根の影がどこに射すかを確め、今日検べた角度によって、誤差を計れば、愈々宝の隠し場所を発見することが出来る訳である。
だが、読者諸君、私達はまだ完全に例の呪文を解読していた訳ではなかった。呪文の最後には「六道の辻に迷うなよ」という不気味な一句があった。六道の辻とは一体何を指すのか、私達の行手には、若しやその様な地獄の迷路が待ち構えているのではあるまいか。
古井戸の底
私達は、その夜は諸戸屋敷の一間に、枕を並べて寝たが、私は度々諸戸の声に目を覚さなければならなかった。彼は夜中悪夢にうなされ続けていたのだった。親と名のつく人を、監禁しなければならぬ様な、この日頃の心痛に、彼の神経が平静を失っていたのは無理もないことである。