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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《孤島の鬼(ことうのおに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 頁

青空文庫

「怪我しなかった?」

「大丈夫です」

諸戸は蝋燭に火を点じて、又歩き出した。私も彼のあとに続いた。

だが、一二間進んだ時、私はふと立止ってしまった。右手に何も持っていないことに気づいたからだ。

「道雄さん、一寸蝋燭を貸して下さい」

私は胸がドキドキして来るのを、じっと堪えて、諸戸を呼んだ。

「どうしたの」

諸戸が、不審そうに、蝋燭をさしつけたので、私はいきなりそれを取って、地面を照らしながら、あちこちと歩き廻った。そして、

「何でもないんですよ。何でもないんですよ」

と云い続けた。

だがいくら探しても、薄暗い蝋燭の光では、細い麻縄を発見することが出来なかった。

私は広い洞窟を、未練らしくどこまでも、探して行った。

諸戸は気がついたのか、いきなり走り寄って、私の腕を掴むと、ただならぬ調子で叫んだ。

「縄を見失ったの?」

「エエ」

私はみじめな声で答えた。

「大変だ。あれをなくしたら、僕達はひょっとすると、一生涯この地の底で、どうどうめぐりをしなければならないかも知れぬよ」

私達は段々慌て出しながら、一生懸命探し廻った。

地面の段になっている所で転んだのだから、そこを探せばよいというので、蝋燭で地面を見て歩くのだが、段々になった箇所は、方々にあるし、その洞窟に口を開いている狭い横穴も一つや二つではないので、つい、どれが今