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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《孤島の鬼(ことうのおに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 頁
そんなことがハッキリ分る訳もないし、又僕の錯誤かも知れぬけれど、何だか、一時間程間を置いては、全く同じ恰好の岩肌に触る様な気がするのだ。と云うことは、僕達は余程以前から、同じ道をグルグル廻っているのではないかと思うのだよ」
私は、もうそんなことはどうでもよかった。言葉は聞取るけれど、意味なんか考えていなかった。でも、諸戸は遺言みたいに喋っている。
「この複雑な迷路の中に、突当りのない、つまり完全な輪になった道がないと思っているなんて、僕はよっぽど間抜けだね。謂わば迷路の中の離れ島だ。糸の輪の例えで云うと、大きなギザギザの輪の中に、小さい輪があるんだ。で、若し僕達の出発点が、その小さい方の輪の壁であったとすると、その壁はギザギザにはなっているけれど、結局行き止まりというものがないのだ。僕達は離れ島のまわりをどうどう廻りしているばかりだ。それじゃ、右手を離して、反対の左側を左手で触って行けばいい様なものだけれど、だが、離れ島は一つとは限っていない。それが又別の離れ島の壁だったら、やっぱり果しもないどうどう廻りだ」
こうして書くと、ハッキリしている様だけれど、諸戸は、それを考え考え、寝言みたいに、喋っていたのだし、私は私で、訳も分らず、夢の様に聞いていたのだから、今考えて見ると、滑稽である。