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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《孤島の鬼(ことうのおに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 頁

青空文庫

醜い傴僂親爺が、赤い蝋燭の光に半面を照らされて、歌とも叫びともつかぬことをわめきながら、気違い踊りを躍っている。その足下は、銀杏の落葉の様に、一面の金色だ。

丈五郎は洞窟の片隅にある幾つかの甕の中から、両手に掴み出しては、踊り狂いながら、キラキラとそれを落す。落すに従って、金色の雨はチャリンチャリンと、微妙な音を立てる。

丈五郎は私達の先廻りをして、幸運にも地底の財宝を探り当てたのだ。しるべの縄を失わなんだ彼は、私達の様に同じ道をどうどう巡りすることなく、案外早く目的の場所に達することが出来たのであろう。だが、それは彼にとって悲しい幸運であった。驚くべき黄金の山が、遂に彼を気違いにしてしまったのだから。

私達は駈け寄って彼の肩を叩き、正気づけようとしたが、丈五郎は空な目で私達を見返すばかり、敵意さえも失って、訳の分らぬ歌を歌い続けている。

「分った、蓑浦君。僕達のしるべの麻縄を切ったのは、この親爺だったのだ。奴はそうして僕達を路に迷わせて置いて、自分は別のしるべ縄で、ここまでやって来たのだよ」

道雄がそこへ気づいて云った。

「だが、丈五郎がここへ来ているとすると、諸戸屋敷に残して置いた片輪達が心配だね。