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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁
来太は云った、「従来の例はべつにしても、このとおり特に御老中の墨印を押した、認証札を掲げている、検察を受けるような理由はない筈であるし、御大老柳沢家の面目にかけても、さような不当な処置は絶対に承知ができない」
「そう云われても、自分は関守であるし、急の使者でそう命ぜられたのであるから」
「急の使者……」来太は眼を三角にした、「というと、この荷駄に限って取調べろ、という意味か」
「それは、いずれとも……」
小橋与力は口ごもった。
関所に対する急使、となると、だいたい非常のばあいだろうから、内容を話すことなどは、もちろんできない。また関所はその管轄の領主、代官などに属するので、その急使がどこから出たものか、ということにも問題が関わってくる。小橋与力が云いよどむのをみて、次高来太はするどく追求した。
「もしこの荷駄に限って、検察せよという命令があったとすれば、それは断じて聞きのがせない、それは政治的な陰謀だ、その命令がどこから、なに者によって出されたか聞かせて貰おう」
「無法なことを云う」
「無法はそっちだ」
すでに来太は、相手の確信のゆるぎだしたのを、見てとった。