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ハムレット
怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット(ハムレット)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 72,034 字 · 142 頁
長崎の山のたたずまいや、棟の低い灰色の家並がぼんやりと記憶に残っていたが、それも、まもなく忘れてしまった。五歳の時には、もう、ペトログラードに、父と二人だけで住んでいた。ところで、その父のほうも、商用で、シベリヤのノヴゴロードへ行くといったきり、帰って来なかった。捨てられたのだ。
ナターシャは、日本の港街の風景を、ぼんやりと、思い出す。この八人は、そこから来た人達だ。ソヴィエトの荒々しい辺境で、足を鎖で結び合わされながら、ソヴィエトの河の流水工事をしている。ソヴィエトのために!……なにか屈辱に似た感じが、心をかすめた。この獣類のような人間達のために、なぜ、自分が屈辱を感じなければならないのか。彼女は、想像の中で、美しい英雄的な生活を、いくつも味わってしまった。愚鈍なものや、悲惨なもの、敗北したものなどを見るのを好まなかった。たぶん、そのせいだろうと思った。
心には、また別のことを考えていた。モローゾフ教授の丁寧な言葉使いが、ナターシャをいらだてる。こんな獣類たちにあんなまわりくどいことをいって聞かせている。モローゾフ教授は尊敬に価する人だけど、やはり、部分的には間違っている。