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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁

青空文庫

そしてその笑うたびに、色鮮やかに濡れた脣の間から、並びのよい皓歯が、夏の陽に、明るく光るのであった。

『じゃ――、泳いでこない?』

『ええ、行きましょう――』

砂を払って立った三人の近代娘は、朗らかに肩を組んで、渚を馳けて行った。その断髪のあたまが、ぷかぷかと跳ねると、やがて、さっとしぶきを上げて、満々とした海に、若鮎のように、飛込んで行った。

※っと、鷺太郎は無意味な吐息をもらして、見るともなくあたりへ眼をやると、

『あ――』

彼は、思わず、啣えた儘のストローから口をはなした。

その三人組の少女のテントからは、二十間ほど離れた反対側に、海水パンツ一つではあったが、その上、光線除けの眼鏡をかけてはいたが、あの、山鹿十介の皮肉に歪んだ顔を、発見したのだ。

山鹿十介、この男については、鷺太郎は苦い経験を持っていた、というのは山鹿はまだ三十代の、一寸苦味走った男ではあったが、なかなかの凄腕をもっていて、ひどく豪奢な生活をし、それに騙されて学校をでたばかりだった鷺太郎が、言葉巧みにすすめられる儘、買った別荘地がとんだインチキもので、相当あった父の遺産を半分ほども摺ってしまい、そのためにひどく叔父に怒られて、自分の金でありながら、自由に出来ぬよう叔父の管理下におかれてしまったのだ。