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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁

青空文庫

くやしいけれど、一枚も二枚も上手の山鹿には、法律的にもどうすることも出来なかった。結局、鷺太郎は高価い社会学の月謝を払ったようなものだった。

ところで、今、幸い山鹿の方では気づかぬようなので、この間に帰ろうか、それとも、一言厭味でもいってやろうか――と考えてみたが、とてもあの悪辣な男にはかなうまい、というより、

(もう、一さいつき合うな――)

といわれた叔父の言葉を思い出して、腰を上げた時だった。

あの瑠美子を中心とした三人は、行った時のように、朗らかに笑い興じながら、馳足で上って来た。水に濡れて、尚ぴったりと身についた海水着からは、ハッキリと体中の線が浮び出て、一寸彼の眼を欹たせた。

『さむいわねエ――』

『そうね、まだ水がつめたいわ』

『あら、瑠美さん、脣の色が悪いわよ……』

『そう、なんだか、寒気がするの――』

『まあ、いけないわ、よく陽にあたってよ……』

『ええ――』

彼女は、寒むそうに肩をすぼめると、テントの裏側の、暑い砂の上に、身を投げるように、俯伏になったまま、のびのびと寝た。

ぽとりぽとりとウエーヴされた断髪の先から、海水がしたたって、熱く焼けた白砂に、黒いしみを残して消えた。