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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
線上閱讀蘭 郁二郎《怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像(あしのうら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 頁
その男――原と自分でいっていた――は、人より無口な洋次郎にとっては随分雄弁に色々と話しかけて、洋次郎自身一寸気味悪くさえ思われた。
然し、洋次郎はこの男の話を聴いて行く中に、それが何故であるかが、段々解って行くように思われた。
(この男、懐疑狂だナ……)
如何にもこの男の話は妙な話であった。それでいて洋次郎には、一概に笑ってしまえない、胸に沁透る何かがあった。
――あなたもよくこの家へ来られるようですが、その途中で何時も同じ人に会うことがありますか。
原という男は、そんなように話した。
――さあ、そういえばないようですね。
――さようでしょう、私にはそれが、非常に妙な気持を起させるのです。毎日毎日街上で、或は電車の中で、バスの中で、この大きな都会ですもの、何千何万という大勢の人を見るでしょうが、それは唯その瞬間だけなのです。もう次の瞬間には皆再び私の眼に触れないドコカへ消え失せてしまうのです。
――でも、十年も二十年もの間には随分同じ人に逢うのじゃないのですか。
――或はそうかも知れません、然しあの人はこの前何処何処で見た人だ、と偲い出す事が出来ましょうか、……けれどこれが片田舎などで、人の尠いところでは一週間も滞在すれば見知りの顔が幾くつも出来ることを考えると、これは都会というものの持つ恐怖だということ