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あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《或る少女の死まで 他二篇(あるしょうじょのしまで)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,554 字 · 228 頁

青空文庫

東京には珍らしいこの太田ヶ原の林のなかは、若い灌木のしげみからも雑草のくらい高まったところからも、いろいろの秋近い虫の声がしていて、もう深夜近かったので人通りさえもなかった。私はときおり新聞などで泥坊や殺人犯人などが潜伏する場所もきっとこんな夜で、こんな処にちがいないと考えると、急に大きな犯罪を負っているような重みと苦しみを感じ出した。私は過敏になって聴耳を立てたり、人が来はしないかとくらい星あかりのしたやや白い道路のかなたを眺めたりした。

もういちど酒場へ行って見ようと思ったが、足がふらふらして行けそうもなかった。いま下手に行って詰らない目に会ってはならないという考えと、また、いま行けば非常な不幸があるような気もするのであった。

私はしばらくして宿の方へ帰って行った。どこの家もみな深く睡り込んで、それがいかにも幸福な、私にかかわっていない平和な睡りであるように思われた。私もああして、静かにねむっていられたのだと、灯のもれる二階を眺めたりした。どこかの時計が二つ打った。午前二時であることがハッキリと頭のなかに入った。遠く鶏が鳴いた。

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