輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《或る少女の死まで 他二篇(あるしょうじょのしまで)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,554 字 · 228 頁

青空文庫

幼年時代

一

大正八年八月

一

私はよく実家へ遊びに行った。実家はすぐ裏町の奥まった広い果樹園にとり囲まれた小ぢんまりした家であった。そこは玄関に槍が懸けてあって檜の重い四枚の戸があった。父はもう六十を越えていたが、母は眉の痕の青青した四十代の色の白い人であった。私は茶の間へ飛び込むと、

「なにか下さいな。」

すぐお菓子をねだった。その茶の間は、いつも時計の音ばかりが聞えるほど静かで、非常にきれいに整頓された清潔な室であった。

「またお前来たのかえ。たった今帰ったばかりなのに。」

茶棚から菓子皿を出して、客にでもするように、よくようかんや最中を盛って出してくれるのであった。母は、どういう時も菓子は器物に容れて、いつも特別な客にでもするように、お茶を添えてくれるのであった。茶棚や戸障子はみなよく拭かれていた。長火鉢を隔って坐って、母と向い合せに話すことが好きであった。

母は小柄なきりっとした、色白なというより幾分蒼白い顔をしていた。私は貰われて行った家の母より、実の母がやはり厳しかったけれど、楽な気がして話されるのであった。

「お前おとなしくしておいでかね。そんな一日に二度も来ちゃいけませんよ。