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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《或る少女の死まで 他二篇(あるしょうじょのしまで)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 113,554 字 · 228 頁
仕事は田舎だって出来るからね。」
「来年の春あたりまでいようと思う。」
「その方がいい。」
私はSに別れを告げてかえった。
私はもう一日も早く田舎へ帰りたいと思った。小さな荷物をまとめながら、都の生活の記念のために、Sの絵や、Hのスケッチなどを鞄のなかにしまい込んだ。それから本郷の青木堂で小さな買物などをした。そういう小さな忙しさ慌しさは、間もない秋深い故郷へかえってゆく楽しさと、一つはまたこの都会と別れてゆくつらさを感じた。
ボンタンがやって来た。
「あのね。お母さんが晩ごはんを食べないでいらっしゃいって、そう言っていらしったの。」
「そう、御馳走するの。」
「え。お別れだって――いいものがあるのよ。」
「ではお母さんにね、遠慮なくあがりますって言って下さい。」
「え。」
彼女は去った。
時間を繰ると、九時三十分の直行がある。今夜それに乗って発とうと思った。
しばらくすると、ふじ子が迎えに来た。
「一しょにいらっしゃいな。」
彼女は嬉しそうに私の手をひっぱって室へつれて行った。お母さんは、
「今夜お発ちなんですて。たいへん急におかえりになるんでございますね。」
「思い立ったものですから急に帰ることにしました。