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せんそういがくのおじょくにふれて

戦争医学の汚辱にふれて

平光 吾一

線上閱讀平光 吾一《戦争医学の汚辱にふれて(せんそういがくのおじょくにふれて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,206 字 · 24 頁

青空文庫

しかし私はこの罪たるべきものが、戦争に勝っていれば、明らかに勲功として賞せられることを考え合せると、戦争裁判というものに不思議な感慨を抱くのである。私はこゝでナチス政権下に虐げられていた実存主義の哲学者カール・ヤスパースが、戦後ハイデルベルグ大学の医学部再開の際、行った戦犯論を回想する。それは「われわれが生きのびたことそれ自体が、われわれの犯した罪なのだ」――と告白した一句である。

要するに、勝敗によって勝者が裁判権をとり、勝利者の恣意によって敗者側を裁くことが、果して正しいことかと私はいゝたいのだ。

本来アメリカはキリスト教国として自らも許している国である。キリスト教の強味は良心生活の豊富なことにある。殊に使徒パウロは「善き良心」を強調し、良心と信仰が彼を勇気づけていた。彼は自らを反省するに従い、欠点の多い傷だらけの人間であることに身慄いした。それだからこそ「吾は罪人の首なり」と言い得たのだ。

私も少しはこれにあやかりたいと思い、敢てこの筆をとった。読者の寛容を乞うてやまない。