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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
「申し伝えまする。お心を伺って、主人もいかばかりほっとしますことやら」
「別間に、膳部をもうけさせておいた。はや、戦も熄んだこと、何しても、めでたいめでたい。ゆるりと、中食を喰べて戻られよ」
家康は、奥へはいった。
長島の使者は、別室で酒食の饗応をうけたが、倉皇として、まもなく立ち帰った。
――それを、伝え聞いた武者溜りの血気組は、もってのほか、憤慨した。
「何たることだ!」
と、腕を扼して、怒るもあるし、
「いや、おそらくは、御主君には、ほかに深いお考えあってのことだろう。何条、易々として、信雄卿と秀吉の野合を御承諾あるものか」
と、思い入れして、なだめる者もある。
その間に、井伊兵部と本多平八郎は、一同の意見を、老臣席へ云いに行った。
「祐筆」
と、家康が呼んでいた。
さっき大書院で信雄の使者に会い、自室へもどってからは、誰も入れずに、寂としていた所からの声である。
祐筆部屋からすぐ誰か行った。
「了庵か。ひと筆、持ってくれい」
家康は、脇息を置き換える。
祐筆は硯を寄せ、かれの命じる代筆のことばを待った。
「北畠信雄卿と、羽柴筑前どのへ、それぞれ、賀詞の状を、送ろうと思う。