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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
かれが、外構えの矢倉に立ってこう下の者へ、どなっているのを聞くと、老臣の高野瀬左近や、大西金右衛門は、
「もってのほかです」
と、顔いろを変えて諫めた。
「お城の裏山あたりへ逃げまどっている者は、みな足弱な女子供や老人などで、壮者はもっと遠くへ避難し、お城へ入れて、役に立つ者はいくらもおりませぬ」
「何をいう。それゆえにこそ、城へ入れて、庇うてやれと申すのじゃ」
「殿! それどころではございませぬ。お城の内には、御家中だけの食糧さえ、左様に、豊かにはありませぬし……殊には、戦闘力のない領民などは、いたずらに、足手まといとなるのみで」
「知れきったことを」
と、助右衛門は、叱りつけるように、云い張った。
「日ごろは、領民あっての領主。領民あっての城ではないか。かような時、その領民を見殺しになるべきか。われらの力が足らず、落城となるものならば、せんもなし。この城、この助右衛門のあるうちは、かれらをよそに見てはおれぬ」
「でも、いかにせん、御城内の食糧が」
「ええ、くどく申すな。たとえカユをすすり分けても、かれらを助けよ。……搦め手を開けて、逃げまどう者を城内へ救い取らせい」