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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
もともと、徳川対真田の関係は、主従というほど密接なものではない。――当時の大国が、どこでもやっていたように、自国の境や、遠隔の飛び地に、それとなく手なずけておいた程度の――一衛星国――それが徳川家における上田城の真田だった。
しかし、真田昌幸は、小さな存在でも、百錬の巧者である。武田氏の滅亡では、武田系の属将はほとんど亡散して、その名も形骸も社会の表面から消されてしまったが、かれのみは、信州上田に拠って、主家の潰滅後も、信長とうまく結んで、その本領を、無事にもちつづけた。
さらに、信長が死ぬと、越後の上杉と手をにぎり、上杉北条の合戦に、北条家の優勢を見越すと、また北条家にたよったが、間もなく、今度は、家康に倚って、徳川家の方略に従って、衛星国的な役割を果していた。
昌幸の経歴は、こういうふうに離反常なきものだった。手腕家ではあるが無節操であり、計謀に富むが、気局は大きくない。評されれば、その通りである。しかし、朝に夕べを計られぬ戦国の群雄たちの中間に挟まって、ささやかなる一族郎党を養い、しかも、亡家武田氏のほかには心から仕える主も持たず――とする心底のものを秘して、上田の小城一つでも持ちこたえて行こうとするには、こういう衛星国的な処世術も、またやむを得ないものがあるといえる。