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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
それと、当時、世人の賞め者となって、ひそかに涙をそそがれたのは、荒木久左衛門の息子で十四歳になる少年と、伊丹安太夫の伜のわずか八歳といういたいけな幼児だった。
ふたりとも、死の座にひき立てられて来ても、少しも悪びれず、
「最期所はここか」
と訊ね、河原の素むしろに直ると、掌をあわせて、頸に刃を受けたという。
「何たるいさぎよさ」
「いじらしい和子たち」
「親の顔が見てやりたい」
それもこれもみな荒木一人の逆意から――不料簡から――と、世人はごうごうと彼の罪を責め、またこれらの人質を捨てて逃げた親たちを恨み罵った。
けれど、その荒木村重やその親たちを、憎むとも、
「科もない幼児や女房衆を、こうまで苛烈に遊ばさなくても」
と、世人は、信長の処刑の余りにも峻烈すぎたことにも、決してよい感じは抱かなかった。
「おそろしいお方ではある」
という畏怖のみが先だって、信長が、武門の節義を正すために敢えてした大乗的な憤りまでを読み知ることはできないのである。
「あのお方に叛いたものは、悉くこんな目にあうぞ。これはわざとこうして見せた右大臣様のおしめしじゃろ」
つとめて善意に解釈したつもりで、人々はまずこんなところで口をつぐんだ。