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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
大善院の住持が、進士作左衛門に伴われて、光秀の陣所へ見えたのは、それから間もないことだった。
「夜中、ご苦労であった」
と、光秀はこれを、帷幕に迎えて、左右の者を退け、ほんの近側の、二、三名と住持を加えただけで、何か、密議をこらしていた。
八上城の波多野一族と大善院とは交渉浅くない。
「貴僧の骨折りひとつで、領下の民の塗炭の苦は救われ、城中幾千のものの生命は安泰を得よう。この任務こそは、僧侶たる御身に課せられた当然の使命というものではおざるまいか」
光秀は、切々、彼を説くのであった。
城中へ行って、波多野秀治兄弟を説けとて、招降の使いを命じたものである。
それも、理において、嫌といえないように、光秀は明晰に理論だてて説き伏せた。大善院の見るところでは、公平に見ても、まだこの八上の城を挟んで戦っている攻防両軍の勝負は、いずれが勝ち、いずれが衰えたとも見えない。むしろ寄手は、やや攻めつかれ、守城側の士気のほうが、はるかに振っているかとも思われるのであった。
――が、否み難く、大善院の住持は、
「成るか成らぬかは、天意にまかせて、ともあれ、最善の努力を尽しましょう」