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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

急は、秀吉に通報され、秀吉は、鳥取攻城中の兵力を割いて、黒田官兵衛に仙石権兵衛を添え、

「四国の急へ」

と、赴かせたのである。

しかし、彼にとっては、飽くまで、中国攻略が経営の根幹であり、四国は、傍系にすぎない。

「長曾我部元親なるものも、風の中に抛っておけば、炬火になる質がある」

とは思いながらも、今は、それへ灰をかぶせて、埋め火の程度にしておけばいい。

淡路を占領して、大坂と中国との海上を安穏ならしめ、その須本城に仙石権兵衛を入れて、四国の抑えを命じると、また直ちに、官兵衛を連れて、姫路へ帰って来た。

それが、十一月の半ばごろ。

そして帰るや否――といっていい。

こんどは、備中の児島へ向い、出陣の指令を出す。

そこの麦飯山城に、植木出雲守が鮮明なる敵色をひるがえしているのだ。児島奪取の計は、その前からも、官兵衛が、

「今のうちに」

と、しばしば献言中だったが、その都度、秀吉は、

「まあ、まあ」

と軽く聞き流し、

「あれには考えもあるから」

といっていたものである。

この際、その考えとは、どんなことかがわかるわけだった。――と、出陣の間際になって、さては、と官兵衛には頷けた。