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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
きょうのお茶のあいだも愉快だったし、於福が適当な道をみつけて、そこに正しい生き方をしているのを知ったことも欣しい一つであった。
秀吉は、自分の知る周囲に、ただひとりでも、不幸な者があると気にかかった。親類遠縁から故郷の旧知の端にいたるまで、自分を頼みとする者なら心にとめて、その息災を計っていた。それはあながち人のためにするのではなく、彼自身が幸福であろうとする希いから来ているものだった。周囲に不幸な者を見ながら、自分だけを幸福とし、その幸福に満悦していることは由来できない性質の彼だからである。
桑実寺の宿所へ帰ると、彼はその日、手紙をかいた。
湖畔、ここから程近い、長浜を思いながら、久しくそこに留守している老母と、そして妻の寧子へ宛ててである。
歳暮、新春の御祝儀をかねて、多忙の陣中から上府し、右大臣家に謁し、一両日は滞在はすれど、すぐにもふたたび中国の御陣へ帰らねばならぬ身ゆえ――
と書中に詫びて、留守の近状を問い、自分の健康をも告げて、加藤虎之助と福島市松のふたりに、使いとしてそれを持たせてやった。
つぎの日は。
せめて今日一日だけでも、長陣のつかれ、旅の気疲れなど、すべてを一擲して、気ままに宿所に籠っていたいとしていたが、それも周囲がゆるしてくれない。