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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

惟任日向守光秀

と、いうにちがいない。

あの知性と、あの冷静な風采とは、明智どのとうわさすれば、すぐ瞼に描けるほど、たれの脳裡にも、際だって、鮮やかに、また冷たく映っていた。

秀吉にくらべ、秀吉にも劣らないその戦功や、また織田随一といってよい頭のよさ、軍治両政の知識には、ひそかに推服していたのも、余りに教養のにおいを表に持ったその人品には、何人も、なぜか親しめない。むしろ、離れてそれを観たがる雰囲気をもってめぐっていた。

せっかく、きょう一日の宿所の閑を、気ままにと考えていた私生活を、こう朝から夕までの訪客攻めと、その訪客の醸す思い思いな雑談とに煩わされては、秀吉も、閉口するばかりか、

(人の陰口などは迷惑)

という顔も時には示したろう。

そう考えられるのが、常識であるが、ここの主は、また変っているのだ。――明智どのにはどうも謀叛の兆しがある――などと重大な口外をする客が傍らにいようと、べつにそれへ目をくれるでもなく、

「ははは。左様かなあ。ふーム……。それは美味かろう。それがしも帰陣したら、ぜひそれは食ってみよう」

と、大声でべつな客と話に熱中していたりなどしている。