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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
そんな篤志家はあの時代にはほとんど稀れだったといってもいい。
思うに信長が、朝廷に仕える一信長をもって任じだしたことは、父の影響によるものであり、そして父以上、積極的な性格をそれに加えて来たのであった。
御所の造営。
御墻の築き。
内大臣拝受の御礼。
御節会の復興。
そのほか内裏の御経済の改良やら、公卿殿上の生活安定から、諸祭事の振興など、あらゆる面にむかって、彼は皇室の復古に心をかたむけた。
室町幕府を捨てて足利義昭を追ってから、わずか十年、眼のあたりに、ここまでの推移と民生活の安定を見ては、もうこの頃の信長をさして、
(公方の謀叛人)
などという者もいなくなっていた。かの叡山焼き打ち直後には、
(稀代なる大魔王)
とまで罵った法師輩まで、彼にきのうの非難を繰り返し得ないのみか、共に、今日の明るい洛中洛外にあって、その平和に浴しているすがただった。
わけて、ことし天正九年の春に行われた馬揃いの盛観は、年の暮れかかる今になっても、人々は何かといえば、忘れ得ない語り草としていた。
この春の大馬揃いは、要するに平和の大祭であり、信長の覇を誇った示威でもあり、また、外人宣教師などに対する国際的意味も多分にあったが、もっと、重大な意義としては、親しく至尊の臨御を仰いで、兵馬の大本を明らかにしたことであった。