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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
自分の妹聟にあたる梅雪までが、こう歴々と、反心を示し、しかも自分に向って滅亡を強いて来るという事実を見ては、彼も、苦悶のなかに、少しは、自己を顧みずにいられなかった。
いったい、自分のどこが悪かったのか? ――ということをである。
しかもなお、一面には、負けじたましいを、いよいよ猛くして、百方防備を命じながら、韮崎の新城へ、快川を迎えたのは、時すでに遅しではあるが――彼としてはしおらしい自省の現われであった。
「父の信玄が歿してからちょうど十年。長篠の合戦を経てよりまだ八年。どうして、かくも急激に、わが甲州の武将どもは、かつての節義を失ったのでしょうか」
勝頼は、和尚にたずねた。
対座したまま、いくら経っても、快川の方から何もいわなかったからである。
「つい十年前までの武将は、こんなものではなかった。各※(二の字点、1-2-22)、恥を尊び、名を惜しみ、かりそめにも、主君に裏切るなどということは、父信玄の在世中、稀れにもなかったものです。いわんや一族においてをやです」
快川はなお瞑目していた。
冷たい灰のような相手に対して、勝頼はさながら火のように云いつづけた。