輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

石と共に、材木と共に、また汚水のしぶきと共に、寄手の兵は、石垣の七分目、八分目まで攀じのぼって来ては墜ちてしまう。

しかし、陥ちた兵ほど、勇敢だった。陥ちてもなお意識があるのは、すぐ刎ね起きて、また、

「何を」

と、石垣へ取りつくのである。

その兵のすがたを見た兵は、その敢然たる勇姿へわっと声を送り、後から後から負けじと攀じのぼる。そして墜ちてはまた繰り返し、墜ちては石垣にとりつき、奮迅のまえには何ものもない。

しかし、守る方にも、決してそれに劣らない一致と死力がある。

土壁、築土、櫓などから、半身或いは全身を曝して、それへ応戦しているのは、城中でも逞しい甲州武士のみで――寄手の側からは知れなかったが――一重城壁内の活動を見るとすれば、そこにはさらに涙ぐましい全城一心の奮戦ぶりがあった。

籠城と同時に、ここへ避難して将士と共にたてこもった無数の家族、老いたるも幼きも、女も、そして身重の妊婦までが、悉く、防備の何かを手伝って、必死に働いているのである。

若い女は、矢を運び、老人は焼けついた鉄砲の掃除をし、また傷負いを扶けたり、兵糧の炊ぎに働いたり、どこもかしこも混乱沸くが如き騒ぎを呈しておりながら、しかも誰が命じるでもなく、一すじの秩序はその中にきちんと立っていて、愚痴めいた顔一つ混じってはいなかった。