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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
「筑前の老母は息災か」
と、信長はそれらの者に訊ね、振り顧って、長浜の城を見ていた。
こうしていよいよ彼が安土へ着いたのは、黄昏れ早めの時刻であったが、城下全体はこの日挙げて商いも休み、朝から凱旋軍の歓迎にあらゆる心をくだいていた。
さすがに、信長の騎馬、幕将たちが、城門に入るまでは、静粛、拝伏、ただ夕空に雲の紅々と燃ゆるのみだったが、長い長い軍隊の列も、ようやく終りになろうとし、陽も没して、夜の灯火がつきかけるや、わあっと、どこからとなく沸きあがった歓呼から歓呼の波を喚んで、そのまま街中は灯と踊りと酒と歌と音楽の坩堝になった。
「城下は、たいへんな騒ぎらしいのう。踊っているな。踊っているな」
信長は、湯殿のうちで、旅の垢をながしながら、街の光景を、想像していた。
踊りの歌声や、それにつれる笛太鼓、鉦の音までが、お湯殿まで聞えてくる。
「夜食は、大仰にすな」
湯からあがると、近習へいいわたしていた。十一日間の旅行中、いたるところの馳走攻めに、さすがの彼も、湯漬に梅干一つぐらいな味が恋しかった。
さらさらと、それを一、二碗すますと、すぐであった。
「信孝を通せ」