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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁
要するに、三木城の現在は、生命力のかたまりだ。これに対して糧道を塞ぎ水道を断っても、それが直ちに落城の極め手とはいわれない。いや却って城兵の団結と情味とを外から強めさせてやるような観をすら呈してくる。
過ぐる二月十一日の夜のごときは、そうした決死の城兵が約二千余り、死を決して志染川を徒渉し、秀吉の各陣所へ夜襲をかけて来たほどである。士気の壮烈なることは、以て、察しるに余りがある。
その晩の暗夜戦には、秀吉方もかなり手痛い損害をこうむった。城兵は暁になって、将士三十五人、卒七百八十の戦死体を収めて、意気揚々と引きとったが、寄手はそれに倍する死傷を与えられた。――朝の陽が峰のうえに昇ったとき、志染川の畔も、そこここの崖や谷間も、文字どおり屍山血河の惨状をえがいていた。
また、三月に入っては、こんなこともあった。
別所長治の家老、後藤将監の家来が約七十人ばかり、骨と皮のようになって、ひょろひょろ降伏して来た。粥など喰わせて、ともあれ陣中に捕虜としておいたところ、この捕虜は、やがて夜半となると、俄然、行動を起して、忽ち寄手の一塞を占領し、武器を奪い、火を放ち、追々勢いを加えて、あやうく平井山の秀吉の本陣近くまで猛襲して来たものである。