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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁

青空文庫

来年あたりは公家などにも成らるべく見および候。左候ふて後、高ころびに、あふのけに転ばれ候ずると見申し候。藤吉、さりとはの者にて候。

恵瓊の予言は驚くべきものであったのだ。十年後の今日、まさにそのとおりになって来たのである。

――けれど、その夜の彼はまだ十年前に自分が云ったことが、かくまで的中していようとは夢にも知らない。ただ心ひそかに秀吉の人物に、敵ながらふかく傾倒しているにとどまっていた。

二十年も前に、秀吉の大器をすでに観ぬき、十年も前に、信長の運命を云いあてていた恵瓊もまた決して決して世のつねの凡僧とはいえない。

まだ彼が幼少の頃、安芸の安国寺を訪れた毛利元就が、ひと目見て、

(あの小坊主を予にくれぬか)

と、求めたというはなしは、彼のひとつの名誉となってよく語られている。元就の在世中には、戦陣にも伴われて、小僧小僧と、つねに愛でられていたものだという。

中年に郷を出て、諸州を遊歴し、帰国したのちは、安国寺の西堂とあがめられ、小早川隆景や吉川元春の帰依もあつく、戦いのある日は、軍事顧問、いわゆる陣僧として従いもしていた。

(ここは御和睦あるが善策です)