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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
果ては、ほとんど敵の中に自己の中軍を置いたとも云い得るほど、大胆なる積極性をその馬印に掲げて、前進また前進、一歩たりと、退くことをしなかった。
とはいえ、こことても、決して易々として、進み得たわけではない。
御牧三左衛門、奥田宮内、明智十郎左衛門、進士作左衛門、妻木忠左衛門、溝尾庄兵衛など、明智家譜代の名だたる勇将は、ことごとくこれへ殺到したといってよい。
「筑前、あれにありとみえたり」
「ござんなれ、猿面」
「われこそ、一と槍」
と、およそ名のある程の者は、みな彼の夜目にも燦たる金瓢の馬印を目がけぬはなかったのである。
秀吉の姿は、秀吉を狙う敵方の将たちを、著しく勇気づけ、死をも忘れさせたことは確かだった。
故に、彼の予備軍は、一万という大軍とはいえ、尺地を刻むジリ押しにしか進み得なかった。
もっとも、この時もうその予備軍中から、加藤光泰や堀秀政に、各※(二の字点、1-2-22)二千ずつをさずけて、中川、高山などの他の手薄な方へ救けに廻していたので、実数は五、六千しかなかったにちがいない。
で、ここの戦況も、一時は勝敗いずれともいえなかったというほうが正しいであろう。