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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
「お目録どおりたしかに受け取り申した。が、せっかくの御秘蔵を、憎き敵の手へお譲りあるとは、いかなる思し召しのことか。特に何人へお譲りありたいとかいうお望みでもあらるるか」
「何の」
と、光春は高き所から一笑を見せて、
「敗れ去れば天下さえ、次代の勝者に移ってゆくものを、一箇の茶器名刀の如き何かあらん――です。ただ、それがしの思うところは、かかる重器は、いのちあって、持つべき人が持つあいだこそ、その人の物なれ、決して、わたくしの物ではなく、天下の物、世々の宝と信じ申す。――人一代に持つ間は短く、名器名宝のいのちは世々かけて長くあれかしと祈るのでござる。これを火中に滅すのは、国の損失、武門の者の心なさを、後の世に嘆じられるを口惜しと、かくはお託し申す次第。――依って、その名器名刀が、やがて誰の御所有になろうと、左様なことは、ただ今、この世に暇する光春の知ったことではありません。――流玩転賞――それでいい。持つべき資格のある者に持たれ、世の流れにまかせてゆけばよいのです」
告げ終ると、光春は、はや死を急ぐらしく、そこの狭間から姿をかくした。
堀監物はあわてて、再び、矢倉の上へむかってこういった。