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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
深刻な苦労を経て来たその筋骨は、たとえば岩礁に生えている痩せ松か、風雪に痛めつけられて来た矮梅の如き感じで、強くはあるがもう人間の老成を呈していた。
しかし彼の場合は、尋常の人の年齢や肉体と較べては考え得られないものがある。それはそうした皮膚や筋肉とはまったく別箇のものみたいにある絶倫な精力だった。また音声、動作、眼ざし、笑うこと怒ることなどを見ては、到底まだ老成の影もない若々しさである。いや時には、幼稚ですらある場合も見ることがある。
「市松」
秀吉は、浴後の身をへ揚り屋の腰掛にかけると、まだ乾かぬ汗を拭き拭き、小姓の古参福島市松を前に呼んで、こう軍令を口授した。
「すぐ天守から一番貝を吹かせて、全軍に兵糧をつかわせること。二番貝の鳴るときは、人夫荷駄などを先に出立させること。次に、三番貝は、城外に総揃いの合図ぞと、表方へ触れておけ」
「はいッ」
市松が駈け去ると、また直ちに、
「彦右衛門を呼んで来い」
と、べつの小姓を走らせ、その蜂須賀彦右衛門の姿もまだ見えないうちに、さらに、ほかの小姓たちを派して、姫路城の金奉行、蔵奉行などを、みなここへと、呼びにやった。