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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
いや義元のみでなく、今川家の参謀といわれる庵原将監にも、名将の聞え高い牟礼主水正にも、すぐそれに答えられる考えもない容子なのである。
「…………」
元康もだまって控えていた。とつこうつ日頃の智慮をしぼっている面持は誰にもあるが、依然、声もない刻々が重くるしくつづいていた。
わけて義元の眉には、身近い苦痛が刻まれていた。織田の抑えとして、大高城に入れてあるそこの主将鵜殿長照は、義元の妹聟にあたる者なのである。私心の上からも見殺しにできないし、また、小藩の織田風情に、大事な要地と妹聟の生命を略取されたと聞えては、上洛の大挙をひかえている威風のてまえとしても、四隣に対しておもしろくない。
「なんぞ、策はないか。……よい思案は。……抛っておいたら大高表の者ども、みすみす餓死ぬであろうが」
重ねて、義元がいった。しかし義元のいっていることは、当然なことと困惑を、繰り返しているに過ぎないのである。
元々、大高城の地理的な位置が無理な所にあった。侵略した敵地に深く、そこだけが突き出していた。で一朝、孤立したとなると、離れ島も同様な地点に置かれた。
その上にも。
ここ半年ほどの間に、織田家では計画的に、鷲津、丸根の砦をはじめ、丹下、中島、善照寺などの各部落や高地に、碁石を布くように砦を構築し、今日の行動を起すまえに、大高