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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

を地理的に遮断しているのである。

援軍をやる――といっても容易ではなく、大高へ兵糧を入れる――としてもなおさら難事であった。

すると、一人、

「僭越ですが、私をおつかわし下されば、来年の御上洛まで、持ち支えるよう、大高表の儀、仕すまして参りますが」

と、云い出た者がある。

誰かと、末席のほうを見ると、質子の松平元康なのであった。

松平元康という者は、若いのに似あわず引っ込み思案な男である。境遇は人を作るというから、自然そうなったものだろうが、武断な勇将の器ではない――

常に、彼を見ている今川家の幕将たちは、そういう定評を是認していた。

その元康が、今、

「私が行きましょう」

至難中の至難と目されている大高城の救援に、進んで志願したので、

「え……?」

疑わぬばかりの眼が、いわゆる引っ込み思案な、彼の姿にあつまった。

義元も意外な面で、

「元康。参るというのか」

「はい」

「大高表へ兵糧を入れる工夫があると申すか」

「いささか……」

「ふむ。そちにな……」

義元は、考えていたが、独りで大きく頷いた。

元康の人間をわりあいに知っていたのは、この中ではやはり義元であった。