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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁

青空文庫

――諸国乱麻、王城の地とて、いつなん時の変あろうも測られませぬ。信長あることを、お覚えおき下さればありがとうぞんじます」

莞爾としていった。

義輝は、見つけない人間と、聞きつけない言葉とに接したようにその笑靨を、見まもっていた。

本来ならば。

その乱世に乗じて、将軍家が前に地方の守護職に任命してある斯波家を亡ぼして、無断、その国主の位置にとって代っている信長である。将軍家の権威として、

「豎子! 何者」

と、これを問注所の白洲へ蹴落しても、当然であっていいのである。

だが、寄りつく大名とて近頃はなく、孤帳寂寞の感にたえなかった将軍家は、むしろ信長の来訪に、無聊をなぐさめられて、なおもはなしたい容子であった。

はなしのうちに、官職や位階でも欲しい意味を仄めかすのかと思えば、それもなく、信長はやがて爽やかに御館を退出した。

京都での滞留は、およそ三十日ばかりで、信長は、

「帰る」

と、触れ出した。

帰るとなると、それも急で、

「明日」

と、気がはやいのである。

山伏、田舎侍などに姿を変えて、分宿していた侍臣たちは、忙しく旅立ちの用意にかかったが、その夜、国元の尾張から使いが来ての書状に、