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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 190,406 字 · 381 頁
いずれの道からお帰国あったがよいか、それについて、心を砕いておるところだ」
「はははは。いやそのご心配ならご無用。殿にはもう決めておられる」
「え、お決めになっておられると」
「上洛の折は、ちと人数が多すぎて、かえって人目立つ心地がする。帰国の際は、ほんの四、五名がよい。家来どもは家来どもで、ちりぢりに、好きな道を選んで帰れと、そのおつもりでいらっしゃる」
唖然として、一同は、そのままとにかく朝を待った。
朝もまだ仄ぐらいうち、信長はもう支度して洛外を立っていた。池田勝三郎のことばに違わず、山伏姿やその他の家臣二、三十名は後に残して、
「随意、帰国せよ」
と、いって別れてしまった。
附き従う者は、わずかに四人であった。勝三郎はもちろんその中にいたが、最も光栄に感じたのは、木下藤吉郎で、彼もその中に選ばれていた。
「余りのお身軽」
「よいかしら?」
なお、不安にたえない残りの家臣組は、大津あたりまで、見えかくれに信長の姿を守護して行ったが、そののち駅路の馬を雇って、信長たちは、さも気やすげに、瀬田の大橋を東へ去った。
関所の木戸も、幾つかあったが、難なく越えた。