輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんせい

新生

島崎 藤村

線上閱讀島崎 藤村《新生(しんせい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 頁

青空文庫

百二

一方に彼を引留めようとするものがあればあるほど、彼が心に聞きつけた声はますますはっきりして来るばかりであった。十一月も末になる頃には、彼は大体の仕事の手筈を定めるまでに成った。秋から取り掛っている旅行記の残部をも完成した上で、その他気に掛る仕事を片付けてしまった上で、それから書きにくい懺悔に着手しようと思い立った。そうした著作は、よし書いて置いたにしたところで、自分の死後にでも発表すべきものではなかろうか――そんな考えが来て復た彼を引留めようとしないではなかったが。

前の年に高輪の家の方で迎えたよりももっと寒い初冬がもうそろそろ愛宕下の下宿の庭先へやって来た。北東に向いて朝のうちしか日の映らない離座敷は殊に寒かった。女中の案内なしに廊下の突つきの部屋のところへ来て、障子の外から声を掛けるのは節子だ。丁度岸本は自分の思い立ったことを話すつもりで彼女を待受けている時であった。節子の癖で、子供の部屋の方から一寸岸本の居るところを覗くようにして、それからコートの紐なぞを解いた。

岸本の部屋の庭に面したところは全部障子であった。何となく遽かに高くなったような板張の天井、残った蠅の眼につく壁、いずれも初冬のおとずれを思わせないものは無かったが、殊に部屋の障子がそれを感じさせた。