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くうきぽんぷ

新美南吉童話集 2 おじいさんのランプ

新美 南吉

線上閱讀新美 南吉《新美南吉童話集 2 おじいさんのランプ(くうきぽんぷ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 41,209 字 · 85 頁

青空文庫

そして、吉太郎君がああいうふうになってもどってこないようにと、心の中にみんなは願った。もう、競走の勝敗のことなどすっかりわすれていた。

吉太郎君は帰ってきた。みんなが願っていた通り、元気で帰ってきた。先生のうしろから自転車の荷かけにまたがって、血色のいい顔をにこにこさせながら帰ってきた。すこし元気すぎるほどだ。でもまあよかった。みんなは、ほっとして帰りじたくにかかった。

公園を出て、川の堤を電車の停留場の方へ歩いていった。みんなは疲れでぼんやりしていたので、だれひとりものをいおうとしなかった。

電車を待つために、大作君たちは停留場の外の葉桜の日かげに腰をおろして、向こう側のかりとられた小麦畠の方をぼんやりみていた。先生は事務所の中へはいってゆかれた。

小麦のかりとられたあとに一輪の矢車草の花がさいていて、なんということなく、みんなの眼をひいた。

「あんなとこに、矢車草があるげや。」

そう兵太郎君がいった。

「うん。」

と大作君が答えた。

するとみんなのうしろにすわって、すこしきまりわるそうにしていた大頭の吉太郎君が、

「とってこうか。」

といって、小走りに走っていき、二メートルほどの赭土の傾斜をいせいよくかけのぼった。