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にほんイデオロギーろん
日本イデオロギー論
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《日本イデオロギー論(にほんイデオロギーろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 263,376 字 · 511 頁
ないし、又あってはならない。つまり哲学は哲学的範疇を哲学的表象を借りて使用するのだが、之に反して文学は、この同じ哲学的範疇を使用するのに、是非とも文学的表象を借りなければならないわけだ。
処が表象と概念とが、論理的な訓練の足りない普通の通俗常識から云えば、つまり同じものにされて了っているように、大抵の場合文学的表象と文学に於ける範疇とが一緒にされているのは必ずしも無理からぬ弊害だ。文学には文学独特の諸表象が感覚的諸観念がある。文学者は一応は単にこの感覚的諸観念、諸表象を駆使するだけで、立派に仕事が出来るだろう。だが、文学を多少とも批評し評論しようとすれば、文学者と雖も諸表象・諸観念を貫いてこれを組み立てている見えない鉄筋の枠を、文学の内から探し出さなくてはならなくなる。その時は恰も、文学に於ける諸概念を、範疇を、求める時なのである。併し一般に云って、文学至上主義に移り行くべき物質的根拠を有っている今日の一種の文学者達は、この点に来ると直ちにその哲学的な訓練の不足を暴露する。と云うのは、文学に於ける概念のメカニズムをば文学的表象を通して掘り当てる他ないのは当然だが、その故に文学に於ける諸範疇が、文学的表象になぞらえられてしか工夫出来ないようになるのだ。