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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁

青空文庫

「どうか、もうしばらくお見合わせが願いたいものですが……」

「承知しました」

新らしい獲物をつかんで、半七はかみなり師匠の門を出た。師匠は嘘をつくような人物ではない。今の話がほんとうであるとすれば、お粂の判断は間違っていた。お広の想像も少しく的をはずれているらしい。半七はそれからすぐに甲州屋へゆくと、お直のゆくえはまだ知れないので、店じゅうの者がみな暗い顔をしていた。ゆうべはまんじりともしなかったというので、お広は眼を窪ませていた。

「若旦那はもう立ちましたかえ」と、半七は先ず訊いた。

「まだでございます」と、居あわせた店の者が答えた。

「大層おそいじゃありませんか」

「六ツ半(午前七時)頃には立つ筈だったのですが、暁方から急に頭痛がすると云って、まだ二階に寝て居ります。たぶん寝冷えをしたのだろうというので、今朝ほどは立つのを止めました」

「そうですか、それはあいにくでしたね。お見舞ながら二階へちょいと通ってもよござんすかえ」

「はい、ちょいとお待ちください」

店の者は二階へあがって行ったが、やがて又引っ返して来て、取り散らしてありますが、どうぞお通りくださいと案内した。