輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,073 字 · 223 頁
断章(六)
「おじさま」
と云う声が聞えた。
遠くから聞えて来るような、しゃがれた含み声であった。眼の前にある顔が歪み、大きくみひらかれた、きれいな両眼から、涙のこぼれ落ちるのを、甲斐は認めた。
「おじさま、死んではいや」
とその顔が云った。死んではいや、おじさま死んではいや、と叫び、甲斐の手を取って頬ずりをした。
「――宇乃」と甲斐は呟いた。
そうか、宇乃だったのか、甲斐はそう思って、初めて眼がはっきりとした。
村山喜兵衛が宇乃を抱き起こし、塩沢丹三郎が彼女を引取った。ほかにも五六人来ているようである。甲斐は手を伸ばして、くびじろの顎を撫で、それから眼をつむって、かれらが自分を運びだすままにさせた。
断章(六)
――御家老にございます。
「大槻か、会おう」
――斎宮にございます。
「早かった。済んだか」
――申上げることができましたので、佐々木権右衛門を残し、私だけさきに戻りました。
「佐月はなんで死んだ」
――胃をながく病んでいたと申します。
「おかしなものだ」
――はあ。
「茂庭佐月は酒も飲まず、粗衣粗食でつねに養生を怠らなかった、そのくせにいつも胃をこわし、胃のために命をとられた」