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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,073 字 · 223 頁
「いや、彼のようすをみるとわかる、条目そのものよりも、誓紙にして取ることができるか、取ったらこう、取らなければこうと、肚をきめているようなところが、たしかにうかがわれるのだ」
――それでは、いかがなされますか。
「出さなければなるまい、しかし今日は会わぬ、多用だといって帰してくれ」
――日取を問われましたら。
「また来いと申せ」
――承知つかまつりました。
「待て、船岡と酒井邸へゆくのは明日であったな、よし、新左衛門にはまた来いとだけ申せ」
――承知つかまつりました、ああ、柿崎六郎兵衛を待たせてありますが、いかが致しましょうか。
「おれは知らなかったぞ」
――里見十左衛門の来る半刻ほどまえでございました。
「金のことか」
――さように存じます。
「いま手当はどれほど遣わしているのだ」
――それは任せていただいた筈です。
「では会うことはないだろう」
――私はむろんさように存じます。
「おれは彼は使えると思った、だがどうやらそんな必要はなくなってきたらしい、まだそうときまったわけではないが、宮本の小伜をどうにかすれば、手を切ってしまってもいいかもしれぬ」
――それは私がよく按配を致します。