輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,073 字 · 223 頁

青空文庫

「柿崎さん」と藤沢内蔵助が云った、「石川の躯は酒で弱っています、どうか加減してやって下さい」

「いいか」と六郎兵衛が云った。

兵庫介は木剣を構えた。顔色も悪いし、足もきまっていない。ただ眼だけが憎悪の光を放っていた。灼くような憎悪だけが、彼を支えているようにみえた。

「いいのか」と六郎兵衛がまた云った。

兵庫介は怒号して打ちこんだ。六郎兵衛は右へひきながら、木剣を振った。烈しい音がして兵庫介の木剣が飛び、彼は三間ばかりのめったが、危うく踏止った。

「拾え」と六郎兵衛が云った。

兵庫介は木剣を拾った。藤沢が「石川」と叫んだ。

「とめるな」と六郎兵衛がどなった。

内蔵助は立って、二人のあいだへ割って入ろうとした。しかしそれより早く、兵庫介が打ちこんだ。打ちこんで来た兵庫介を、体当りになるほどひきつけておいて、六郎兵衛はさっと左にひらきながら木剣を振った。

青竹の節を抜くような、ぶきみな音がし、兵庫介は苦痛の叫びをあげて転倒した。木剣を持った手が肱のすぐ上のところから捻れて、躯にそって投げだされていた。

「柿崎、やったな」

兵庫介はそう叫んで、起きようとして、また苦痛のためにするどい呻き声をあげた。