輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,073 字 · 223 頁
甲斐は「宇乃が」と口のなかで云った。そうか。虎之助が八歳になったのか。
そう気がつくと、わけもなく心がふさがれ、鬱陶しいような気分になった。
「わかった」と甲斐は隼人に云った、「母上に申上げて、隠居所の世話をさせるように、願っておけ」
「いつ御帰館なされますか」
「なるべく早く帰る」
隼人は与五兵衛を見た。与五兵衛の顔は赤く充血し、その眼は怒りのためにするどく光っていた。甲斐は革足袋の足に雪沓をはき、紐を二段にしめた。それから壺胡※(「竹かんむり/祿」、第3水準1-89-76)を括りつけ、寝袋を背負い、弦をかけないままで弓を取った。
「片倉を送ってゆけ」と甲斐は与五兵衛に云った、「炉の火を消すぞ」
与五兵衛は答えなかった。
隼人は蓑や雪帽子を着けながら「私は一人で戻れます」と云った。いや、与五に案内させるがいい、と甲斐が云った。この雪では倉沢の道が危ない、隼人は猟小屋へは初めての筈だ。しかし与五はお供をさせて下さい、と隼人が云った。私はまわり道をしてゆきます。ではいいようにしろ、と甲斐は云った。おれはでかけるぞ。ほかにお申しつけはございませんか。炉の火を消してくれ、おれはでかける、と甲斐は云った。