輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 頁

青空文庫

父である自分は、いつ最悪な立場に立たなければならないかもしれないし、そのおそれは充分にある。おまえは生れて来ないほうがよかったのだ、と甲斐は、またしても、思うのであった。

「よしよし、抱っこで待っていよう」と甲斐は云った、「煮えて来るまで、父さまのお国の話しをしよう」

「ちかのお話よ」

「こんどは川の話しだ」

甲斐は白石川や、濁川のことを話した。

白石川にのぼって来る、鮎や、山女魚や、鰍のことを話した。水にもぐって、石の下に鰭を休めている魚たちを手でつかむことや、簗で捕ることや、で突くことなど、それから濁川の、すさまじく荒れた景色や、出水のときの恐ろしさなどを語った。

かよは甲斐の膝の上で、躯を固くし、しんけんな顔つきで、拳をにぎり緊めたまま聞いていたが、ふいに父を見あげて、かよもお魚をつかむのよ、と云い、にぎり緊めた右手の拳を、甲斐に見せた。

そのとき襖の向うで成瀬久馬の声がした。中黒達弥が来た、というのである。甲斐は訊き返してから、奥の部屋へとおしておけと云った。

「お客たまなのよ」とかよは父を不満そうな眼で見あげた。甲斐は頭を撫でてやりながら、すぐに済むよ、と云った。