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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 頁

青空文庫

「よくわかりました」とおみやが云った、「兄がどういう性分か、わたくしも知っております、みなさんは出ていらっしゃるのが本当だと思います」

「貴女もそう思うのですね」

「はい、さもなければみなさんに、もっと御迷惑のかかるときが来る、とさえ思います」

六郎兵衛が低く呻き、仰むけにのびた躯が、ゆっくりと横向きになった。

「野中、ゆこう」杉戸口から石川兵庫介が呼びかけた。おみやもどうぞと云った。気がつくと却って面倒ですから、どうぞいまのうちに。それでは、と又五郎が立ちあがった。

「みやどの、柿崎に伝言を頼みます」と向うから石川が云った、「こんど出会ったら眼を潰す、必ずその眼を突き潰してみせる、私のこの片手には、鉄甲を砕く力があるのだ、そう伝えて下さい、わかりましたか」

おみやは黙って頷いた。

又五郎が別れを告げて去り、石川が杉戸口から出ていった。六郎兵衛がまた呻き、深い息をして、激しく咳こみながら、横になったままぐっと、足をちぢめた。――おみやは顔をそむけながら、そっと眼を押えた。

竹そよぐ

――七月二十六日。

奥山大学が国老を免ぜられた。理由は「上下の弾劾による」