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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
線上閱讀大鹿 卓《渡良瀬川(わたらせがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 280,528 字 · 557 頁
そうした結びで演説が終ったときには、本堂の内は薄暗くなり表庭の聴衆のうえに斜めに射しこんでいた西日も消えて、木蔭には夕暮の靄が下りだしていた。
聴衆はちりぢりに散じ、吾妻村の青年も帰っていった。荒井嘉平は二人の宿をするために、正造と荒川を案内していった。与八も漸く一日の重荷を下したという気持の一方に、更に幾層倍もの重荷を負わされた昂奮に胸をふくらませて家へ帰った。父は先に会場からもどっていた。
「福田さんが一緒に帰りながら、あんたの伜さんはなかなかよくやりましたねって云ったぞ」
一言そういったきりであったが、与八にはその満足そうな顔付から、父の言葉が、心ひそかに自分の働きぶりを喜び、自分を励ましてくれようとする真情の籠ったものであることが感じられた。
翌朝早く、与八は二人の泊っている荒井の家を訪れた。正造はすでに袴をつけていて、言葉も鄭重に昨日の労をねぎらった。与八が今後の運動方針について教えを乞うと、正造は真摯な面持で膝を乗り出し、
「まず第一番に君のような青年を沿岸被害地の村々に続々とふるい立たしたまえ。この問題はどうしても青年の力でなければやりぬけない。