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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
線上閱讀大鹿 卓《渡良瀬川(わたらせがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 280,528 字 · 557 頁
の文字の見える紙片が、そのあたりの路上に散乱して、心なき人々の踏みにじるに委されていた。
この朝中仙道を下ってきた千余名の一隊が、南埼玉郡の蓮田にさしかかったとき、警官数十名に阻止されてはからずも一騒動を惹き起し、四名の負傷者を出した。前日、彼等が羽生から強行して蓮田附近まで来たのは、すでに夕暮時だった。老人などは疲労のあまり餓鬼のような様子で足を引きずっていた。そこで蓮田附近の林へ入って、その夜は思い思いに落葉を敷いて野宿することにした。明けがた彼等は身震いして目を覚し、毛布や茣蓙のうえの凄じいほどの霜に思わず顔を見合せた。今更ながら情ない境涯がかえりみられて、泣きだしそうに顔をゆがめる者もいた。それでも今日は東京へ辿りつけるといい合って、凍てた弁当飯を齧っていると、そこへ数十名の警官が踏みこんできた。ここからは一歩もすすむことはならぬという厳達である。しかし被害民にすれば、そんな言葉は聞きあきていた。彼等はやがて身づくろいをすると、なにをいわれても白い眼をむけるばかりで、その言葉の下から、警官の腋の下をくぐって前へ前へと駆けぬけた。その無抵抗な態度がかえって警官たちを苛立たせたのか、警官たちの方が妙に殺気立って混乱のきっかけを作った。