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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
線上閱讀大鹿 卓《渡良瀬川(わたらせがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 280,528 字 · 557 頁
と二通の電報をつきつけた。正造は釣ランプの下へきて立ったまま電報に目を注いだ。芝口の鉱毒事務所と八官町からと、いずれも予防命令の決定を知らせるものであったが、文面が簡単で内容のところは不明だった。
「ふーん」正造は唸って突立ったまま、しばらくランプの焔を見つめていたが「そうか、やはりそうだったか」と呟きつつ崩れるようにその場に坐って腕組みした。
「この予防工事というのは、どの程度のものなのでしょう」大出が庫裡からお茶を運んできて、正造の前へすすめながら覗きこんだ。
「それはわからぬ。情勢から推しておそらく相当に厳重なものだろう。だが、いくら厳重でもわれわれの望む鉱業停止とは雲泥の違いだ」
だが、正造独りの胸の裡では、この成りゆきのおおよそは予て推測がついていた。内容は不明にしても、予測した結果の、もっとも悪い場合に落ちついたものとしか思えなかった。
「惜しいことをしたものだ、こう決ったものを覆して鉱業停止にもってゆくことは、かえって一気に押し切るより難しい。……やはりわれわれの努力が足りなかった」
肩を落して、正造は大きく嘆息した。この結果を予想しながらも、正造は全身全霊で鉱業停止を叫びつつ大勢をうごかしてきた。